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高松・丸亀の工務店『パッシオパッシブ』木製サッシ"佐藤の窓"『Rainbow Ocean View』

【社長ブログ】SDGs住宅建築における日本の課題とは?日本の家は寒い?環境にやさしい家づくり

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SDGs に 住宅 建築 で 貢献できる!?

SDGs(エス・ディー・ジーズ)

最近TVでもとりあげられるようになりました。

SDGsとはSustainable Development Goals(持続可能な開発目標)の略称です。

SDGsは2015年9月の国連サミットで採択されたもので、

国連加盟193か国が2016年から2030年の15年間で達成するために掲げた目標です。

17個の目標があるのですが、そのうちいくつかの目標が

住宅建築と関連があるのではないかと考えました。

1.貧困をなくそう
3.すべての人に健康と福祉を
4.質の高い教育をみんなに
7.エネルギーをみんなに そしてクリーンに
8.働きがいも経済成長も
9.産業と技術革新の基盤をつくろう
10.人や国の不平等をなくそう
11.住み続けられるまちづくりを
12.つくる責任 使う責任
13.気候変動に具体的な対策を
14.海の豊かさを守ろう
15.陸の豊かさも守ろう

 

「13.気候変動に具体的な対策を」

まず1番わかりやすいのは「13.気候変動に具体的な対策を」

「CO2排出の少ない家をつくる」でダイレクトに貢献できます。

 

家の生涯を通してCO2排出を考える

これはLCC(ライフサイクルカーボン)とよばれます。

  • 建設時に出るCO2
  • 使っている時に出るCO2
  • リニューアル時に出るCO2
  • 解体時に出るCO2

この中でCO2排出量が最も多いのは“使っている時に出るCO2”です。

使うエネルギーを少なくする。

パッシブハウスを作ることでSDGsに貢献できるのではないか。

家を建てるタイミングで地球環境に貢献するチャンスがあるのです。

 

「8.働きがいも経済成長も」「9.産業と技術革新の基盤をつくろう」

パッシブハウスや国産の木製サッシをつくる事で貢献できる項目として

「8.働きがいも経済成長も 」
「9.産業と技術革新の基盤をつくろう」

があります。

 

木製サッシはローテクでハンドクラフトなので雇用を創出する事が出来ます

ほとんどの作業が職人の技術を要しないので

企業側では需要の少ないシルバー人材や時短のパートタイマーも受け入れ可能になります。

もちろん職人の仕事も必要ですが…

シルバーさんやママさんが働きがいを持てる職場にしていくことが

地味ですが地元の経済成長につながると信じています。

 

木製サッシはアルミサッシや樹脂サッシと比べ生産量が少なく、

0.2%しかない市場。

これが2%になれば10倍の雇用が創出できるのです。

ちなみにドイツでは25%が木製サッシです。

 

産業の技術革新をハイテクだけとするのではなくローテクの技術革新もあると思います。

より少ないエネルギーで快適に暮らせるパッシブハウスは

ドイツのパッシブハウス研究所発ですが、

全世界に広がり、より簡単にパッシブハウスが作れるように

日々換気装置や窓が技術革新されています。

 

弊社の窓もその一つです。

躯体と一体になり埋め込まれた形状は木製サッシの概念を超え、

より省エネルギーなだけでなく高い耐久性を実現しているのです

 

さらにスマートウィン「佐藤の窓」では国産材を使った商品も開発中です。

国産の木を使うことで日本の林業に需要をもたらすことが可能となり、

林業の再生に少しは役立てると思います。

住宅産業だけではなく林業も巻き込んでの産業創生になればと。

 

「11.すみ続けられるまちづくりを」「12.つくる責任 使う責任」

「11.すみ続けられるまちづくりを」「12.つくる責任 使う責任」

これはダイレクトに建築が主役です。

 

住宅をつくる側としては

より長い年月使える家をつくる事を最も大切にしています。

例えば

建替えサイクルが30年の家よりも60年の家の方が

資源は半分で済みます

さらに適切な修繕をすることで

90年使えれば資源は3分の1となります。

 

つくる側が

長く使える家をつくる責任を持つ事と

住む側が

家を長く持たせるために適切に修繕を行う責任をまっとうする事

 

両方が大切です。

これを街づくり、つまり

都市計画の規模で考えるのが「11.すみ続けられるまちづくりを」 です。

 

都市計画と言っても身近な私の住んでいる我が町規模で考える。

地方の人口は30年後、半減していてもおかしくないかもしれません。

そんな中で今まで通り混沌とした秩序のない

無計画な土地利用を続けて良いのでしょうか?

今あるライフラインを維持するためにも町をコンパクトにする必要があります。

人が減るのだから。

 

そしてせっかくあるインフラを最大限に利用する必要があると思います。

学校や役場の統合はもちろんの事ですが、

現状、統廃合する時にはほとんどが建物を新設している。しかもコンクリートで。

 

ようやく日本も

「公共建築をつくる時に可能な限り木造で建てる」という法律ができましたが、

これからですね。

オーストリアでは超高層の木造建築も作られています。

日本でも4階建てぐらいまでなら

CLTや大断面集成材の利用で技術的に作れますが…

ちなみに欧米では既存コンクリート建築は新築するのではなく、

断熱改修で再度利用価値を高める事が積極的に行われています。

 

つくる責任はつくる時、最初に決めないといけない

何の目的でいつまで使い、どんな使い方をするか。

そして

エネルギーをより使わない方法で。

 

「1.貧困をなくそう」「3.すべての人に健康と福祉を」

パッシブハウスジャパンHP「CONCEPT:パッシブハウスとは」より https://passivehouse-japan.org/ja/concept/

 

貧困と言うと発展途上国の食料飢餓のようなイメージもあるかもしれませんが

一方で、

先進国の資本主義経済の中でも収入の格差が広がっています。

一生懸命働かない、努力しない人が貧困になるのは仕方がないことかもしれません。

でも「頑張っても報われない」のは社会の構造の問題だと思います。

建築からの切り口では既述のインフラを整備する事が解決の手段になると思います。

 

現在ドイツでは低所得者向けの公営住宅がパッシブハウスで建てられています

貧困から抜け出すためにも冷暖房費を抑える事で支払いが減れば

それだけ貧困を抜け出せるのがはやくなるし、

そこで住む人は少ないエネルギー(冷暖房費)で快適に暮らせます

 

冷暖房費が高いと暖房しなくなり我慢します

イギリスでは健康に良くない影響が出る温度は

18℃と定められています。

 

日本の省エネは”小エネ”であり我慢しているだけです。

まして住宅を建てることができる人が

真の省エネではない家を建てる事は本末転倒なのです。

家を建てる機会に建てた後の暮らし方を考えると、

我慢しない快適な温熱環境で暮らすためには

6地域の温暖化地域で暖房費にお金を使っている場合ではないですね。

 

暖房をしなくても快適な家は最初に建設コストをかければつくれます

燃費を考えると建設コストが上がっても将来コストが下がり、

トータルのコストは安くなる建物をつくる事が

可能な時代に既に入っているのです。

 

世界基準のパッシブハウスは決して達成不可能な基準ではなく

これからのスタンダード住宅なのです。

 

「4.質の高い教育をみんなに」

公的機関で職人を育てるシステムが日本にはありません。

ドイツではマイスター制度があります。

 

建築に関連するところでは大工さんの他にも

  • 家具職人
  • 塗装工
  • レンガ積み  など…

工業全体では300業種もあります。

ドイツで大工、家具職人、木こりマイスターと会いました。

共通点はカッコイイこと。

自分の仕事に誇りをもってることを感じたし、

実際に収入も安定し、社会的地位も高いです。

 

ドイツでは進学コース以外に職人を育てるコースがあります。

基礎教育は小学校は4年生で終わり。

そこで職人の道を行くか、進学するかを選択します。

職人の道を選択するとHauptschule(ハウプトシューレ)で5年間学びます。

ここまでが義務教育。

 

ここから3年間職業訓練校に通う。

週に1日~2日学校に通い、

3日~4日マイスターのいる職場で実際に働きながら仕事を覚える。

もちろんお給料ももらえる。

その後、国家資格であるGeselle(ゲゼレ)を取得すると、

スペシャリストの道が即戦力としてスタート。

 

そこから。

Walz(ワルツ)と呼ばれる放浪修行を通じて、知識と技術を磨く。

だけでなく、実践の場で交渉力や経営力が身に付きます。

これ、10代の話です。

 

大工のワルツは民族衣装を着て、ヒッチハイクをします。

故郷を離れ修行の旅に出ます。

(親の不幸でもない限り、故郷から半径60km以内に近づく事を禁止されています。マジか。)

魔女の宅急便の世界が現実の教育システムとして存在するのです。

 

そして十分な研鑽を積み、マイスター試験に合格して晴れてマイスターに。

 

大変だけど9歳で自分の道を選択します。

ドイツでは職人として生きていくための道が、教育システムとして確立しているのです

一律が平等な教育ではなく、

好きや得意を伸ばす教育システムが「4.質の高い教育をみんなに」だと思います

日本も世界のいい教育システムを取り入れてもらいたいものです。

 

「10.人や国の不平等をなくそう」

国の不平等をなくそう。

建築の分野では省エネ基準が国家間でめちゃくちゃ不平等があります。

 

日本には省エネルギー法はあるのですが

その基準も他国と比べて低い。

 

その中で窓を例に取ると

環境先進国のドイツでは1.3W/㎡・K

日本では義務基準がないので

樹脂サッシ 1.7W/㎡・K 程度が最高で

樹脂アルミ複合サッシ 2.33W/㎡・K が良い方

アルミサッシ 4.65W/㎡・K も使われています。

 

ドイツには負けてても仕方ないと思う?

では中国は?

1.6W/㎡・K です。もちろん義務基準です。

中国では現在パッシブハウスクラスの建物がガンガン建っています。

パッシブハウスクラスであれば1.0W/㎡・Kを切っています。

 

この差の原因は法令の整備の問題なので

政治による国の不平等が起きているといえます。

問題はこの事実を国民が知らないという事。

これはジャーナリズムの国の不平等。

世界の情報がもし国民に届いていたらこの格差を許すのでしょうか?

日本の普通の建物が他国では義務基準以下で建てる事を許されないのです

私達プロサイドは世界基準で家を建てる事が求められ、

お客様に情報を伝える義務があると考えます。

 

結果として

世界基準の家と普通の家で差がついた

人の不平等じゃないの?

平等とは選択した結果ではなく選択の機会を奪われないことです。

政治や報道に文句だけ言ってても仕方ない。

今は個人もこうして情報を発信していける時代なので。

 

「7.エネルギーをみんなに そしてクリーンに」
「14.海の豊かさを守ろう」「15.陸の豊かさも守ろう」

日本ではいまだに

「国はクリーンエネルギー = 原子力」と考えているようです。

世界の流れは脱原発にも関わらずです。

 

すでにある原子炉を使うことにも賛否両論ありますが

使わなくても原子炉は廃炉になるまでに完全には止められない事を考えると、

稼働する事は仕方がないことかもしれません。

でも新規で建設する事は絶対にあってはならない事だと思います。

 

日本は地震国であり原発と非常に相性が悪い。

福島では自ら弱点を証明して見せたわけです。

さらに原発が破壊されると

放射能によって陸だけではなく海も汚染されてしまいます。

 

世界から見た日本は

「悲劇の被爆国」というよりむしろ

「世界中のみんなの海を汚した大悪党」と思われています。

 

では、原発以外のクリーンエネルギーとは。

いっぱいあります。

 

日本は島国なので…風による豊富な海洋風力発電。

ダムは森林破壊や生態系への影響もあるので

必要以上の水力発電所建設は疑問ですが、

今あるダムの水力発電も

ピークのないクリーンエネルギーとして有効です。

 

注目したいのはバイオマス発電です。

メリットは分散して各地方に作れることです。

これにより劇的に送電ロスを減らすことが可能です。

そもそも送電ロスによって

3分の2のエネルギーは失われているわけですから。

 

疑問点として

バイオマスの木を燃やした時点でCO2が排出する事。

しかしこれは

木が育つ間に吸収するCO2の量とイコールなので

プラスマイナスゼロとなりカーボンニュートラルになるのです。

一方的にCO2を増やす火力発電とは違います。

 

しかも、森林自体再生可能なエネルギーです。

木はそもそも建築資材として使えるし

木材となるチップの利用は

日本の美徳である「もったいない精神」とも合致するのです。

 

SDGsに一気に3つも貢献するバイオマス発電。

バイオマス発電の普及には地方行政に

「自分たちのエネルギーは自分たちで作り出す」という考えが必須です。

世界各国ではオフグリッドを達成している地域が現に存在しています。

 


 

家を建てるタイミングでSDGsについて考える機会になりました。

本当にたくさんありましたね。

パッシブハウスを通じて既に取り組んでいることも多かったですが

教育や地方都市の在り方、エネルギー問題まで

今まで漠然と考えていた疑問を整理することができました。

SDGsは国や団体だけでなく、

個人レベルで「何ができるか」を考えることが大事なのかもしれません。

 

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投稿者:佐藤大治

 

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