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香川・丸亀の工務店『パッシオパッシブ 』

【社長ブログ】パッシブハウス用の 木製サッシ「スマートウィン」窓 の 性能 と 構造 を 考える

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パッシブハウス に 日射取得率 の 高い窓 は 必須!

パッシブハウスは

「暖房時20℃、冷房時25℃」設定で、年間の冷暖房負荷が15kWh/m2を下回る家。

室内と外の気温差が大きい冬は暖房負荷をいかに減らすかが鍵となります。

南面に大開口の窓を設け日差しをたっぷり取り込むこと、

窓から逃げる熱よりも日射取得が多ければ暖房負荷を減らすことができます

 

冬の窓は「暖房器具」。

日本でパッシブハウスを建てようとしたとき1番ネックになるのが窓。

日本の樹脂サッシ・トリプルガラスの窓ではガラスの日射取得率が低く、

パッシブハウスの窓を担えるだけの性能がありません。

そのためパッシブハウスを建てる際には

海外から木製サッシ・トリプルガラスの窓を輸入して採用していました。

 

 

ではなぜ 日本では海外のレベルの窓がつくられないのでしょうか?

それは

  • 世界スタンダードの情報が日本に入ってこないこと
  • 国の住宅の省エネの義務基準がないこと

が大きな理由です。

 

日本の家の省エネ基準では窓の性能は問われていません。

ドイツではUw=1.3以下、つまりトリプルガラスが必要。

それに対し日本では、樹脂アルミ複合Uw=2.33が良い窓として普及しています。

地球に対してローインパクトな家、

素材・エネルギー共にカーボンニュートラルな家をつくるのが世界スタンダード。

性能の良い窓はパッシブハウスをつくるために最も必要な「部品」。

裏を返せば日本には「部品」がないからパッシブハウスが普及しない、

と言えるのかもしれません。

…ないので、作っちゃいました。

 

木製サッシのデメリット とは

日本での需要減少の背景

その昔、日本の木製サッシは開口部、建築の一部として一般的に扱われていました。

しかし【マイホームを持つこと=幸せの代名詞】という

家を大量につくり売る“時代”がやってきたことで

窓も「製品」として大量に生産されるようになりました。

窓にも大きさ・形に差異が出ない耐久性の高さが求められました。

 

ここから日本の家に使われる窓は

「つくるのに手間暇がかかり腐りやすい木の窓」から

「スピーディーに生産できる耐久性の高いアルミサッシの窓」へ

移り変わっていったのです。

さらに“時代”が進み次世代省エネ基準が提言されて家の断熱性能が上がったことで

「窓は結露するもの」という概念に疑問の声が上がり始めます。

「アルミサッシが結露しているのでは?」

 

こうして15年ほど前から

内側:樹脂、外側:アルミの複合サッシが普及し一般的になりました。

そして2009年、日本の住宅業界に黒船到来。

パッシブハウスが日本にやってきました。

(2009年8月神奈川県鎌倉市雪ノ下に日本で初めてのパッシブハウスが建築)

パッシブハウスを日本でつくるとなった時、

日本の窓の性能があまりにも遅れていることに気付いた人は多かったはず。

日本の窓に革命が起き、樹脂サッシ・ペアガラスの窓がつくられるようになりました。

 

それから5年経ってさらに性能の良い樹脂サッシ・トリプルガラスの窓が開発されました。
(2009年にAPW330、2014年にAPW430が開発)

 

性能の良い家「パッシブハウス」が日本にやってきたことで

性能の良い窓「樹脂サッシ」が普及していったとも捉えられますね。

 

しかし日本の樹脂サッシ・トリプルガラスの窓も

パッシブハウスの窓を担う性能にはまだ届いていないという現状。

パッシブハウスをつくるにあたってデザインだけではなく性能面で

木の窓を見つめなおす“時代”がもうそこまで来ているのではないでしょうか。

 

サッシの構造と耐久性 木枠 を アルミクラッドで覆えども…

日本から木の窓が消えた理由について触れましたが…「木の窓は腐る」。

他の窓は?

鉄は錆びます。アルミは劣化します。樹脂はアルミよりも劣化します

一番耐久性が高いアルミサッシが日本では普及しています。

でもアルミは熱伝導率が高いので結露の原因になります。

アルミ自体は大丈夫でも、結露したアルミの周りの木が腐る。

木製の窓は熱伝導率が低いので枠の部分では結露しない。

ただ木製なので直接雨がかかると腐るリスクがある。

木製サッシは耐久性の高い塗装を定期的に塗りなおす必要がある。

メンテナンスがわずらわしく怠ると塗装が劣化して腐る。

 

それを回避するために”アルミクラッド”で屋外側の木枠部分をカバー。

木枠にアルミクラッドを取り付けてから塗装する方法では

アルミクラッドが取り付いた部分は塗装できません。

アメリカの木製サッシは未だにこの方法が主流です。

ヨーロッパでは先に木枠に塗装をしてからアルミクラッドを取り付けます。

さらに木枠とアルミクラッドの間を浮かせて通気層をつくることで、

木が湿気ないように改良されているサッシもあります。

 

長い年月をかけて木製サッシの耐久性を高めてきました。

しかし外から見るとアルミで中から見ると木製の複合サッシになっています。

もう既に別物ですね。もちろん木製サッシよりも高価になります。

 

木製サッシ スマートウィン「佐藤の窓」

デメリットを解消した パッシブハウスのための木製窓

「木の窓は腐る」を別の方法で解決した窓があります。

この窓は外から見るとガラス、中から見ると木です。

アルミクラッドではない分コストが安くなっています。

 

スマートウィン は“パッシブハウス用の窓”としてドイツで開発され、

世界中のライセンスパートナーによって作られています。

 

“パッシブハウス用の窓”とは?

日射取得量を増やすこと、断熱性能を上げることを考える必要があります。

ガラス部分を大きくとり窓枠は出来るだけ小さく。

さらに

断熱性能を上げるために窓枠の取付周りのヒートブリッジ、熱損失をなくす

これらを突き詰めて全く新しい考え方で生み出された木の窓が

スマートウィン「佐藤の窓」です。

 

通常の窓とは異なり、

サッシと断熱材を含む外壁の構造が一体化する取り付け方法のため

外部の付加断熱とガラスが連続するように設計されています。

 

窓枠が外部に露出していないためアルミクラッドは不要になり、塗装の必要もありません。

外壁の付加断熱が木材の保護をしているのです。

パッシブハウス用の為に開発された窓が

結果として

腐らないどころか全てのサッシの中で“最も耐久性が高いサッシ”になりました。

 

かっこいい窓 枠  ”素材感” や ”デザイン” は…

木の窓からアルミの窓になって外がアルミで中が樹脂の複合サッシが普及しています。

さらに断熱性能を高めるために樹脂サッシができました。

アルミサッシの頃は内側にアルミサッシが見えていたので

好き嫌いはともかくとして“アルミ“という素材感があった。

今の窓のスタンダードは複合サッシ。内側は樹脂です。

そう、“プラスチック”感満載なんです。

どんなに自然素材の家を作ってもサッシだけは“プラスチック”感が残る

残念。

 

これがもし木製サッシになるとめちゃくちゃかっこいい

昔の日本の家は柱が見えていて「真壁」って言うんですけど

そこにとりつく木製窓は柱が枠を兼用していたりします。

厳密には障子と呼ばれる窓ガラスの枠とサッシ全体の枠の二つ。

木の柱が見えていて障子枠も木。

両方とも木でナチュラル感半端ないですね。

 

それから気になるのが窓枠の太さ。

窓枠は強度を出すために特に下枠が太くなっています。

素材に限らず下枠が太くなるのは「ガラスが重いから」です。

特に断熱性能を高めようとしてトリプルガラスなんて使うと

下枠の太さはとんでもないことになります。

これが”プラスチック“だったら…

 

窓枠の左右上下、全て61 mm の木製サッシ、シンプルでかっこいいですね。

スマートウィン「佐藤の窓」の下枠は左右上と同じ寸法です。

どうやってガラスを支えているのか?

窓枠のコーナーの特殊な部品によってガラスを支えることを可能としているので

下枠にはガラスの重さがかかりません。

寒い地域では4重ガラスの使用も可能なスマートウィン。

4重ガラスになっても木枠の太さは同じ。デザインが全く変わらないのです。

 

窓 の 性能 と 構造

窓 の 熱貫流率  Uw

パッシブハウスジャパンHP「CONCEPT:パッシブハウスとは」より https://passivehouse-japan.org/ja/concept/

 

窓の断熱性能は窓の熱貫流率Uwで表されます。

住宅断熱性能を表すUa(外皮平均熱貫流率)と同じで値が低いほど性能が良くなります。

 

では、どのくらいの数値かというと1窓1窓計算して求めます。

メーカーのカタログの数値では1番条件のいい数値が入っていますし、

使うガラスの熱貫流率の違いもあるので少し幅を持たせて

アルミ樹脂複合:2.33 (W/㎡・K)
樹脂ペア:1.31 ~1.7( W/㎡・K)
樹脂トリプル:0.9~1.2( W/㎡・K)
木製輸入トリプル:0.8~1.0 (W/㎡・K)

アルミ樹脂複合窓で家の断熱性能をよくするには…

外壁や屋根から逃げる熱より、窓から逃げる熱の方が大きいので

窓を小さくすると効果があります。

逆に断熱性能の高い木製窓は窓を大きくしても断熱性能が落ちにくいともいえます。

 

窓の熱貫流率Uwの計算方法は

窓枠の熱貫流率Ufとガラスの熱貫流率Ugを面積で按分したものに

ガラススペーサー部分のヒートブリッジを足したものです。

Uw=(Uf×枠面積+Ug×ガラス面積+Ψ×取合い長さ)÷窓面積

で求められます。

 

例1)窓の大きさを1m×1mとした樹脂ペアガラスの窓
樹脂の枠  Uf=1.3
ペアガラス Ug=1.5
スペーサ部分のΨ=0.04
窓枠の幅が10㎝

(1.3×0.36㎡+1.5×0.64㎡+0.04×3.2m)÷1
1.556 W/㎡・K


例2)窓の大きさを1m×1mとした木製トリプルガラスの窓
木製の枠  Uf=0.75
トリプルガラス Ug=0.528
スペーサ部分のΨ=0.022
窓枠の幅が8.6㎝
(0.75×0.315㎡+0.528×0.685㎡+0.022×3.312m)÷1
0.671 W/㎡・K

例2の窓は輸入の木製サッシも下回る数値です。

その窓とは…

▼クリックすると詳細が見れます▼

2020.7.30(vol.870)新建ハウジング記事より 抜粋

記事までマニアック。

 

窓 の 性能 評価 は Uw だけじゃない

パッシブハウスジャパンHP「CONCEPT:パッシブハウスとは」より https://passivehouse-japan.org/ja/concept/

冬の燃費は年間暖房需要が小さいほどよくなります。

断熱性能を表すUa(外皮平均熱貫流率)が小さいほどよくなりますが

要素はそれだけではありません。

窓にはプラス要因があります。それが日射取得です。

具体的には

日射取得=低減係数×開口部面積×日射取得率×日射量

(窓の熱損失= 開口部面積×Uw×暖房度時)

で求められます。

例1) 樹脂トリプルガラス
日射取得率が40% 日射取得が1500kWh/aとして
窓の熱損失 950kWh/aとすると プラス550kWh/a


例2) 樹脂ペアガラス
日射取得率が60%になれば  日射取得が2250kWh となり
窓の熱損失 1700kWh/aと増えても プラス550kWh/a

熱損失よりも日射取得が多くなれば窓は「暖房器具」となるのです。


例3) 樹脂アルミ複合ペアガラス
日射取得率が60%  日射取得が2250kWh となり
窓の熱損失 2330kWh/aと増えて マイナス50kWh/a

こうなると暖房器具とは呼べないですね。


最後に)こんな窓あったらいいなぁ
日射取得率が60%  日射取得が2250kWh
窓の熱損失 650kWh/a プラス1600kWh/a

 

窓 の 構造 と 気密

日本人は引き違い窓が好き。上下に溝があり左右にスライドする。

最近では溝も深くなりモヘアで隙間を少なくする努力はしていますが

根本的には気密性能は低くなる。

 

ドイツの「ヘーベーシーベとドレーキップ」開閉の構造で気密性能が高まります。

へーべシーベと呼ばれる片引き戸。

半分はそもそも開きません。

引き戸部分も閉まるときに左右はパッキンに引き付け

上下は重みで下がり、パッキンが押し付けられる構造なので、気密性能が高まります。

 

 

開き戸はドレーキップと呼ばれ、閉める時にパッキンに押し付ける構造です。

扉の4周の金物がスライドしガッチリ閉まります。

日本の開き戸は閉める時に戸先で気持ちパッキンに押し付ける程度です。

引違いよりは気密がとれるかな。

 

そもそも気密が必要か?問題

またどの程度か?気密がC値0.2以下とかいるの?

気密性能が低いと隙間から熱漏れします。

断熱性能を表す数値Uaには隙間の熱漏れ部分はカウントされません

屋根や外壁で隙間だらけが前提とすれば

窓まわりの隙間は気にならないかもしれません。

でも屋根や外壁をきっちり隙間なく施工すれば、残るは窓周りの隙間だけになります。

めっちゃ気になります。

 

要するに「そこまでいるのか」問題ではなく

「やるのなら窓まわりで気密できていないのはもったいない」

「断熱したら気密しろ」南雄三さんの名言は窓にも同じです。

 

計算されずして 逃げる熱 ヒートブリッジ と インストールψ

暖房負荷の計算をする場合、

  • 断熱性能
  • 日射取得
  • 気密性能

最後にパッシブハウスのプログラムでは

熱橋またはヒートブリッジと呼ばれるライン状の熱損失も計算します。

ヒートブリッジは接合部や貫通部断熱欠損の部分に存在します。

 

窓の周りでは窓と躯体との取り付け部分にヒートブリッジがでてきます。

これをインストールΨと呼びます。

PHJ components workshop 「Passive House Windows 」(pro Passivhausfenster Franz Freundorfer )

 

少し計算してみましょう。

70㎝角の窓【Uw=1.0w/㎡K】

相当いい窓ですね。木製のトリプルガラスの窓です。

【インストールΨ  0.04w/mK  の時】
窓周り(0.7m×4辺)から逃げる熱は
0.04w/mK × (0.7×4)m =0.112w/K

この時 窓の面積から逃げる熱は
1.0w/㎡K × 0.7m × 0.7m = 0.49 w/K

つまり

窓周りから、

窓面積の4分の1に相当するぐらいの熱が余分に逃げていることになります。

 

でもこのヒートブリッジ、

そもそも日本の断熱の計算には含まれていません

窓廻りだけではなく外皮廻りの全てですが。

家全体のヒートブリッジを集めると一体どのくらいになるのでしょうね。

 

躯体部分では熱橋や断熱欠損をなくす簡単な方法があります。

外からスッポリ断熱するのが手っ取り早い。

外壁は付加断熱、屋根は屋根断熱、基礎は基礎外断熱です。

では窓廻りは…?

 

サッシと断熱材を含む外壁の構造を一体化させる取り付け方法で

窓枠の取付周りのヒートブリッジ、熱損失をなくす

インストールΨがゼロに近い取付方法の窓

スマートウィンのHPで窓の構造を回転させて見ることができます。

 

 

パッシブハウスクラスで家をつくるときには

パッシブハウス用の窓を使うことが超重要。

逆に

パッシブハウス用の窓を使うとパッシブハウスを簡単に作れるとも言えます。

 

 

投稿者:佐藤大治

 

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